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生物多様性が危ない!私たちができるアクションを考えてみた

近年、生物多様性という言葉をよく耳にするようになりました。私たちの世界では、様々な動植物が共生しています。しかし、その多様性に今危機が訪れているのです。

現在、1年間に地球上でどれくらいの生物が絶滅しているかご存知でしょうか。実は、1年間に絶滅する生物は約4万種。日本でも過去にはニホンオオカミやニホンカワウソなど、一度は聞いたことのある動物が絶滅しています。生態系は様々な生き物たちによって絶妙なバランスで保たれているため、特定の種が突然絶滅すると、そのバランスが崩れ、他の種にも悪影響を及ぼします。また一度失った種は二度と元には戻りません。

なぜ生き物が絶滅していってしまうのでしょうか。そして、生物多様性は私たちの暮らしとどう関係しているのでしょうか。


生物多様性ってそもそも何だろう

生物多様性とは何を意味するのでしょうか。詳しく意味を確認していきたいと思います。

生物多様性とは、生きものたちの豊かな個性とつながりのこと。地球上の生きものは40億年という長い歴史の中で、さまざまな環境に適応して進化し、3,000万種ともいわれる多様な生きものが生まれました。これらの生命は一つひとつに個性があり、全て直接に、間接的に支えあって生きています。

環境省 生物多様性

特定の種だけが強くなりすぎず、個体ごとに違った個性を活かして暮らしていくことが大切だということが分かります。

絶滅したor絶滅危機にある動物を4種類紹介

上記のように自然界では様々な生き物がバランスを保ちながら生きています。しかし冒頭でお話したように、たくさんの生物たちが絶滅したり、絶滅の危機に瀕したりしているのです。ここでは、絶滅の危機にある動植物とその原因をいくつかご紹介します。

ニホンカワウソ(保全状況:絶滅)

ニホンカワウソは、日本で広く生息していた動物でしたが、2012年に絶滅種に指定されました。原因は乱獲や人間活動による生活場所の減少、水質汚染といわれています。

キキョウ (保全状況:絶滅危惧VU)

1度は見たことがある方もいるのではないでしょうか。キキョウの自生環境は草原ですが、野生のキキョウは激減しているようです。人が野焼きや草刈りで草原を維持しなくなったことで里地里山の維持管理が行き届かなくなること等が、絶滅しつつある原因と言われています。

ニホンリス(保全状況:低危険種LC)

本土の平地や低山地で生息しているニホンリス。近年見かけられることもあるものの、実は数が減少しています。一部の地域では、見かけられなくなり生存状況不明の場所もあります。森林の減少、キタリス・タイワンリスといった外来種の拡大が減少の要因と言われています。

ライチョウ(保全状況:低危険種LC)

某お土産のパッケージでもおなじみの雷鳥。ライチョウは国の特別天然記念物であり、絶滅危惧種です。原因は登山者等が出すごみによる環境悪化、それに伴うキツネやカラス等捕食者の増加、温暖化によるエサの減少(食害)などです。

絶滅の危機!その原因とは?

このように、身近な動植物が危機に瀕している原因は、4つの危機に分類されます。

第1の危機 開発や乱獲

鑑賞用やステータスの象徴としての所有や商業利用を目的とした乱獲や採取は生物多様性の減少を招く一因となっています。

第2の危機 自然に対する人為的な働きかけの縮小

農村が過疎化し、里地里山の管理が行き届かなくなることで生物の生息地が減少してしまいます。
里地里山は長い年月をかけて人との関わりがあった生態系で、人間活動によって維持された環境に依存する種が多数生息しています。例えば、平野部の田や水路を住処にしていた生物、薪利用により明るさを保たれた林で生息していた生物などは人間による里山の手入れ不足により生息地が減少しています。

第3の危機 外来種や化学物質などの持ち込み

外来種や化学物質が持ち込まれることで、生態系は攪乱されてしまいます。外来種とは、自然に分布を広げたものではなく、人の力によってその生き物がそれまで生息していなかった地域に移動してしまったもの。意図して持ち込まれるだけでなく、知らないうちに人の服に付着して持ち込まれることもあります。

第4の危機 温暖化など地球環境の変化

災害の激甚化等、地球規模で起きている気候変動。その影響で生物がこれまで生息していた地域に住めなくなっています。また、気候変動に適応して別の地域に移動しようとしても、気候の変わるスピードが速すぎて間に合わないこともあるようです。

明日からできそうな地球にやさしいアクションとは

生物多様性が直面している危機は、極めて深刻なものです。では私たちができることって何かあるのでしょうか。身近なアクションを考えてみます。

自然や生物を知る機会を設ける!

身近に生息する生物に対する興味を持ったり、調べたりすることで、生物の多様性に対する理解を深めることができます。YouTubeの動画やアプリも手軽でチャレンジしやすそうではないでしょうか。

【YouTube】マーシーの獲ったり狩ったり

条件特定外来生物について、非常にわかりやすい解説です。実際に捕獲してもいいのか?間違えて捕獲してしまった場合にリリースしていいのか?等、私たちの行動から出てくるモヤモヤを解消してくれます。13分の短い動画なので、スキマ時間にみられるのでお勧めです。

環境省×YouTuberコラボ!?ミドリガメとアメリカザリガニの新制度「条件付特定外来生物」を作った人に解説してもらってみた!!【飼育、放流、生餌、料理、釣り、運搬、販売、繁殖】 - YouTube

【アプリ】バイオーム

身の回りの動植物を撮影するとAIが名前を判定してくれる、生物に詳しくなくても楽しく生き物探しができるアプリです。他のユーザーが投稿したマニアックな生き物を見ることもできるので、図鑑を見ているような感覚で知識を得ることができます。自由研究の素材として日記をつける等もおもしろいかもしれません。

FSCやMSCなどの認証マークがついたものを選ぶ

FSC認証
環境、社会、経済の便益に適い、きちんと管理された森林から生産された林産物や、その他のリスクの低い林産物を使用した製品を目に見える形で消費者に届ける仕組み
MSC認証
海の環境を保全しながら、天然の海産物の持続的な利用を実現する魚や貝、エビ、 カニなどの海産物製品に付けられるもの
このように、持続可能な形で製造されたものを選ぶことも日常生活ですぐにできそうなアクションです。

地産地消・自産自消を推す!

地産地消は、地域の農業が活性化します。また、農産物の運搬距離が短くなるのでCO2排出量が削減され、環境負荷が軽減されます。また、最近では自産自消という自分で育てて食べる選択肢もあります。

外来種を持ち込まない

旅行先やレジャー等にいった際に、興味本位で外来種を狩ったり、持ち込んだりしないよう配慮しなければいけません。森林の生態系を壊してしまうことに繋がってしまいます。

気候変動に対するアクションを起こす

ごみを減らす、食材を余すことなく食べることや、食べられる分だけを買うこと、スーパーにいったときは賞味期限の近いモノ「てまえどり」をやってみることも普段の生活に取り入れられそうなアクションです。また省エネな暮らしとして無理のない程度で、エアコンの室内温度を見直すことや、小まめな節電をやってみてもいいかもしれません。

おわりに

いかがでしたでしょうか。今日は言葉だけで聞くと難しそうな「生物多様性」について、そして明日から私たちにもすぐできそうなことをご紹介しました。生物多様性の危機は、私たち人間の活動が大きく影響しています。これからも変わらない日常や、素敵な景色をこの先も残していくためにも明日からでもできそうなアクションを取り入れてみませんか。

【参考文献】
滅び行くフジバカマー100年後は秋の五草に?!-
国立研究開発法人 国立環境研究所「日本の生物多様性を脅かす「4つの危機」」
・FSC「FSC認証について」
WWF JAPAN「MSCについて」

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