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(前編)地域コミュニティを豊かに。ヨウ・サプライが取り組む循環を生む野菜づくり

自分自身で野菜を育てて食べたことはありますか?子供の頃に学校で育てたり、大人になっても自分で家庭菜園を楽しんだりする方もいるかもしれないですね。
今回『日新火災withCaNday』では、福岡県で損害保険代理店業を営み、自身で育てて収穫した野菜を地域のNPO法人等提供する取り組みをしている株式会社ヨウ・サプライの宮崎陽(みやざき よう)さんにお話をお聞きしました。


自分で育てたものを、自分たちで食べる「自産」のきっかけ

株式会社ヨウ・サプライの宮崎陽さん(以下、陽さん)の事務所は、市内から車で約30分の閑静な住宅地にありました。外観には「美容室」という文字。「代理店のはずが美容室?」と不思議な気持ちで扉を開けると、そこはお洒落でカラフルな事務所が!一瞬戸惑った私たちを快く出迎え、自家製のきゅうりや果物を浸して作ったデトックスウォーターを注いでくれました。

この事務所は、なんと陽さんがDIYで作り上げたものだといいます。事務所を移転する際、元は美容室だった店舗を解体し、近くの工務店の端材を床や壁に活用し手作りしたそうです。これまで、建築関係に携わったことがなかったにも関わらず、分からないところは自ら調べながら進めていったとのこと。また、事務所の備品も、捨てる一歩手前だった物だそうです。壁に飾ってあるおしゃれなレコードも、近所の方の家に眠っていた誰も使わない物。活躍の場を失いかけていた物たちが事務所の中で活き活きしています。

カラフルでお洒落な内装

そんなふうに、サステナブルな事務所づくりを行った陽さんですが、お話を伺ってみると「以前はサステナブルと180度真逆の人間だった」と驚きの一言が。コロナ禍での身近な人の死がきっかけで、考え方がガラっと変わったのだと言います。

壁をはがす作業
床は廃材を1枚ずつ貼り合わせる
破棄予定だったソファ

「畑を始めたのは、2年前。最初はやるつもりではなかったが、今の事務所ができあがった時に、『畑もできるかもしれない』と思った。ちょうど、近くに住む老夫婦が余った土地をどうするかと悩んでいたので、自分が畑をすることで少しでも人の役に立つのかなあと思い、土地を活用させてもらって畑をしようと決意できた」と陽さん。

自然の猛威につまずく

畝から作り始めた畑も、事務所の改装と同じくわからない部分はYouTube等の動画で研究したり、野菜の育て方のコツ等を地域の方に聞いたりして試行錯誤の末、いろいろな種類の大量の野菜を収穫し、今までお世話になってきた方々に提供するようになったそうです。思わず、「とても順調な畑ですね!」と収穫している写真を拝見しながら言ってしまったほど。
しかし、畑開始から1年が過ぎた後に、思わぬ出来事につまずいたと陽さんは続けます。

「今年 7月、豪雨の被害にあったんよ。畑は一夜にして水没。この事務所も浸水してしまったけど、大雨の翌日事務所の水を吐き出したあとはすぐに畑を見に行ったくらい心配だった」

大切に育てていた収穫間際の野菜たちは、豪雨の被害を受け水や土に浸かってだめになってしまったそう。そこから、流木を撤去したり、泥を排除したりして、なんとか畑を復活。その時の様子を振り返って、「自然の猛威は凄まじくて、あの時はもうだめかと思っていた。けど、周囲の協力もあってなんとかまたやろうと思う気持ちにもなれた。だからこそ、協力してくれた人たちにもまた、お返ししたくなった」と語ってくれました。

水に浸かってしまった畑
風で倒されたとうもろこし
収穫した野菜たち

自然といろんな世代が集まってくる

ご自身で育てていた野菜を地域に還元していた陽さんでしたが、思わぬ出来事で、またその輪が広がっていたと言います。自身で手作りした事務所が、いつしか「集いの場」になりつつあるのです。

「最近、気が付いたら小学生や中学生が来て、事務所のワークスペースで宿題をやっとるんよ」と笑いながら話されます。

ワークスペース(製作途中)

子供たちは『陽さんの事務所は涼しい、Wi-fiもあるから、勉強が捗る』と言ってくれるのだそうです。

また、子供たちだけでなく事務所には様々な年代の人が集まってくるそう。「ここの地域での困りごとは、買い物難民。地域の年齢層が高くなって、老夫婦だけで住まわれて免許返納してしまう人が多く、買い物に困る人が多い。何とかしたいと感じている」と陽さん。

「買い物難民の人向けに、代わりに買いものにいって、自分の野菜も一緒に届けるんよ。そうすると、お返しに漬物をくれるなど、みんな優しくて」と笑います。
人と人の絆で地域コミュニティが循環しているようですね。

「常にいろんな人が集う空間は自分が目指していた場所。そういう場所になっていることが活動するパワーの源かもしれない」と陽さんは語ってくれました。

この話を聞いて、地方都市が抱える社会課題の1つ、地域のコミュニティの希薄化を思い出さずにはいられませんでした。町でお店を営んでいた方が高齢となって後を継ぐ人もいないため閉店、また人口減少により地域の消費需要が減少。こういった影響で住民同士の交流の場や地域行事も減少。コミュニティの希薄化を招いているのです。これは、その地域で暮らすあらゆる年代層が社会的に孤立することに繋がってしまいます。
地域に隠れる困りごとを読み取り、自然体で力になろうとしている陽さんをみて、地域の繋がりの大切さを痛感しますね。

―後編では、陽さんが作った野菜を届けているNPO法人FLAPさんへ訪れた様子を交えてお届けします。

★後編はこちら


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