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サステナブルファッションって?アパレル業界の問題を知ろう編

四季やトレンド、ご自身の好みにあわせて、様々なファッションを取り入れて楽しんでいる方も多いのではないでしょうか。今回から、2回にわたって「サステナブルファッション」について考えていきます。
前編となる今回は、サステナブルファッションが注目される背景や、ファッション業界の環境負荷について、後半となる次回の記事では、地球や社会、そして人にとっても優しいファッションの形についてご紹介していきます。

サステナブルファッションとは?

皆さん、「サステナブルファッション」という言葉を聞いたことはありますか?これは、衣服の生産から着用、廃棄に至るプロセスにおいて将来にわたり持続可能であることを目指し、生態系を含む地球環境や関わる人・社会に配慮した取り組みのことです。それでは、なぜ今この言葉が注目を集めているのか詳しくみていきたいと思います。

ファッション業界の環境負荷

実はこれまでのファッション業界の仕組みでは、衣服の生産から廃棄まで全ての段階で環境面に多大な負荷をかけていることがわかっています。
段階ごとにどんな環境負荷があるのかを見てみましょう。

原材料調達段階

天然繊維の環境負荷について
綿などの天然繊維の水使用量・農薬使用による環境負荷が大きいと言われています。綿花栽培で使う水使用量はTシャツ1枚分で約2,700リットル、ジーンズ1本分で約7,500リットルであることがわかっています。人間が一日生活するのに必要な量が20リットルと考えると、それぞれ135日分と375日分の水の量を使っていることになります。私たちの想像以上に水を利用していることがわかりますね。

合成繊維の環境負荷について
合成繊維の中で、もっともエネルギーを使うのが、ポリエステル、ナイロン、そしてアクリルなどの合成繊維です。合成繊維は石油から成分を取り出すので、まず原料として石油という化石燃料を使うことになります。また、成分の採取や精製過程において電気が使われます。これらの過程の中でたくさんの温室効果ガスが発生することがわかっています。例えば、合成繊維のポリエステルに関するCO2排出量は綿に比べるとなんと3倍近い排出量になります。

生産段階

生産していく過程で、紡績、染色、裁断・縫製の過程があります。その各過程でCO2が排出され、水を消費することがわかっています。
また、商品開発段階の廃棄(サンプル生地、試作品)や展示品の大量廃棄も課題になっています。さらに、綿などの原材料や余り生地などが廃棄物として処理されてしまうことも、CO2発生の原因になっています。

輸送段階

国内の小売市場で売られている衣料品は海外からの輸入品がほとんどで、長距離輸送が必要です。また、製造段階ごとに複数の工場で分業するため、各段階で輸送が必要になります。その輸送の過程で大量のCO2が排出されます。

販売段階

近年のファッション業界では、トレンドが激しく変動するため、需要予測が難しく、各店舗で多めに仕入れ、売り残りそうならセールに出すような仕組みになっています。セールで売れ残った商品は、トレンドが過ぎた頃に廃棄されてしまいます。

廃棄段階

このように、大量生産、大量消費、そして大量廃棄のループにより、年間約48万トンの服が焼却、埋め立てされています。

ファッション業界の社会面での問題

ラナ・プラザ崩落事件とは

ラナ・プラザ崩落事件(ダッカ近郊ビル崩落事件)とは、2013年4月24日にバングラディシュのシャバール(サバール)という地域で、8階建ての商業ビル「ラナ・プラザ」が崩落した事件です。死者1127人、行方不明者約500人、負傷者2500人以上が出たこの事件は、ファッション史上最悪の事故として記録されています。ラナ・プラザ内の繊維工場では、杜撰な安全管理や、低賃金かつ劣悪な環境での労働搾取が恒常的に続いていたことが明らかになりました。

過酷な労働環境

主に開発途上国にあるファッション業界の下請けとなる工場では、低賃金、長時間労働、児童労働、危険な建物の中での作業などが労働者の心身の健康を剥奪するような状況が生じ続けています。

このように、ファッション業界は環境や社会そして人に対して多面的な課題を抱えていることから、近年、サステナブル・エシカルファッションへの注目が高まっているのです。

おわりに

いかがでしたか?今回は、サステナブルファッションが注目を高めている背景としての、ファッション業界の課題についてご紹介させていただきました。普段、当たり前に着用している衣類には様々な課題があることを知りましたね。

次回投稿予定の記事「サステナブルファッションって?解決策とアクションを知ろう編」では、今回の課題を踏まえて具体的な解決策とアクションについて考えていきたいと思います。ぜひ参考にしてみてください。

【参考文献】
・国際連合広報センター「国連、ファッションの流行を追うことの環境コストを「見える化」する活動を開始」
https://www.unic.or.jp/news_press/features_backgrounders/32952/
・GREENPEACE「ゼロから学ぶファッションと環境問題」
https://www.greenpeace.org/japan/explore/fashion
・wearware「サステナブルファッションとは? 業界の問題から企業の取り組み、個人ができることまで全部紹介」
https://spotlight.shimaseiki.com/ja-jp/wearware/sustainable_fashion
・繊維産業流通構造改革推進協議会「FISPA便り「輸入浸透率97.7%に上昇」」
https://fispa.gr.jp/archives/5196.html

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