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【Vol.3】北海道厚真町×日新火災 馬搬の西埜さんが描く“理想の林業”

連載形式で始めた北海道厚真町×日新火災の連携協定にまつわるアクションnote。今回で3回目です。
Vol.2では5年たった被災地のいま、「胆振東部地震」を振り返りました。

今回のVol.3では、厚真町をさらに魅力的な町へと感じさせる人を取材した様子をご紹介したいと思います。今回お話を伺ったのは、「西埜馬搬」(にしのばはん)の西埜 将世(にしの まさとし)さん。厚真町を盛り上げようとしている方だと聞き、西埜さんの理想の林業についてお聞きしました。


“馬搬“とは

“馬搬”「ばはん」と読みます。この言葉をご存知でしょうか。山中で伐採した木材を、馬の力と傾斜を利用して集積場(土場)に運び出すことです。

江戸時代の初期は、馬搬は全国各地で活用されていましたが、産業の発達に伴い、重機による搬出となり、昭和中期頃には自然と廃れていったそうです。そんな「馬搬」は、実は今でもサステナブルな方法として活用されており、特にヨーロッパでは、「Horse Logging(ホースロギング)」と呼ばれ多用されています。そんな馬搬を日本で営んでいる方がいるというのは驚かずにいられません。

西埜さんに会いに行く

私たちは、厚真町町役場の宮 久史(みや ひさし、以下宮さん)さんにご案内いただきました。
まず到着したのは西埜さんの仕事場兼自宅。伺った際、西埜さんは留守でしたが、迎えてくれたのは「ウクル」という名前の馬。想像していた馬とは違い、足は太く身体も顔もとにかく大きくてたくましい!とても人懐っこい性格で、私たちの姿を見るとすぐに寄ってきました。

素敵な看板を横目に進むと…
ウクルが出迎えてくれました(写真左:宮さん)

可愛すぎる……!顔を撫でるとさらにすり寄ってきます。
宮さんが「もともとは「ばん馬」として活躍していた馬だから、競争馬や乗馬用として牧場で飼われている馬とは体つきが全く違う」と教えてくれました。

その後、西埜さんがいるであろう、実際に馬搬をされている現場に向かうことに。まさか、実際の現場に立ち会う事ができると思っていなかった私たちは、期待に胸を躍らせながら向かいました。

進んでいった山中

やがて、轍を進むとついに馬を載せるトラックが見えてきました。トラックはあるものの、どこにも西埜さんが見当たりません。どうやら「“馬しか入れない”場所まで移動をしているようだ」と宮さんは車を走らせます。

とても間伐作業をしているとは思えない、山の中の静けさ。宮さんは「静かでしょ。馬を使うっていうのは、静かなんだよね。重機の音もしない。自然を感じることができる。」と語ります。

「お、聞こえてきた」

私たちは、耳を澄ましました。最初は何も聞こえませんでしたが、だんだんと「ガガガガッ」と木を切る音がします。急な斜面を馬が木を器用にかきわけて搬出しています。これが「馬搬」!!!!

馬の名前は「カップ」。厚真名物の「ハスカップ」から名づけられました

西埜さんに聞く、馬がいる林業の話

15年以上前、林業会社に勤務していた西埜さんは、馬搬の存在を知り興味を持ちました。ヨーロッパで馬搬技術について学び、やがて厚真町の制度である地域おこし協力隊の1期生として馬搬事業を立ち上げたそうです。
西埜さんにお話を伺いました。馬搬のメリットって何でしょうか。

「馬搬のいいところは、大規模な作業道を作らなくていいのでコストも燃料も、重機を使うよりはかからないんです。さらに、重機が入れないような山の木を運び出せる。馬が踏むのは、重機がキャタピラで地面を踏むより衝撃が少ないので、地面が固まるのを軽減出来て作、業後に植物が早々に生えてくる。ただ、馬だけの力では時間も労力もかかって難しい。なので、馬と機械とそれぞれのいい部分を取り入れることが、理想の林業と感じる」

写真左から西埜さんと宮さん

たしかにここに来るまでにも大きな重機で間伐作業をしているエリアがありました。
「山林の管理は馬だけではできない。馬しか入れないところは馬が運び出す。そして重機の効率性とうまくバランスをとっているんです」と教えてくださいました。

相棒の馬「カップ」が、木を運んできた道はとても重機が入れる場所ではありません。馬と人間の力が合わさったからこそできる馬搬だということがよくわかります。
「メリットは環境負荷の部分だけではないと思っていて。馬がいる林業の風景って素敵じゃないですか。」と西埜さんは笑います。

一方で気を付けていることもあるそう。「馬に怪我をさせないことですね。もちろん自分も怪我をできないけど。そこだけは万全の注意を払っています。馬は声に出さないから、こちらから気をつけてよくみてあげなければいけないんです。」

つづけて、西埜馬搬はどう展開していくのかをお聞きしました。

「馬とともに働き、一緒に生活する楽しさを実感しています。そして、馬搬を学びたいと一緒に働く仲間もできている。馬の可能性はまだまだ広がっていると感じます。」

林業としての馬搬だけでなく、馬耕をしたり、馬搬の体験会、学童のイベントで馬そりをしたりと様々な場で活躍されているのだそうです。
作業をしながらも丁寧に対応してくださった西埜さん。今後も厚真町の魅力を盛り上げるお一人として、注目したいと感じました。

おわりに

馬が山にいる風景、静かな林業、この馬搬によって間伐された木材はどうなるのでしょうか。西埜さんは薪として販売したり、グリーンウッドワークとしてイベントにも出したりするそうです。馬が運んだ木、馬搬に携わる西埜さんの想い等の背景に想いを寄せると、そこで生み出された物は「大切にしたい」と感じますよね。

私たちは馬搬の西埜さんとの出会いから、「何かできることはないか」と厚真町の皆さんと対話をしていくのでした。

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