最近、花を買ったのはいつでしょう？または、いつ花をもらいましたか？
コロナ禍以前、入学式、卒業式、成人式、結婚式など、様々なイベントを思い出すと、そこには花がありました。華やかな思い出とともに、心に癒しがあったのではないでしょうか。

花が私たちにもたらす効果の一つとして、「癒し」の効果、ストレス軽減作用があるといわれています。
しかし、農林水産省のデータでは、1世帯あたりの切り花購入額は、1995年には12,822円だったのが2018年には8,255円と年々減少傾向にあります。ストレスの多い現代社会にもかかわらず、花のもたらす癒し効果を享受している人が減っているということではないでしょうか。

捨てられる花は多い、フラワーロスの実態

農林水産省の調べでは、令和2年度の花の年間出荷数は32.5億本で、花の小売店での破棄率はおおよそ30-40％といわれています。
破棄される花とは、いったいどんな花でしょうか。その1つは買われることのなかった在庫です。小売店では、ニーズに応えるために在庫を十分に確保しておく必要があります。その結果、出荷される花の3割が過剰在庫で破棄されると言われています。

また、規格外となり販売できない花も多く破棄されています。
規格外という言葉は、野菜でよく耳にしますが、実は、花にも「規格外」が存在しています。
例えば茎が曲がっている、茎の長さや太さがまばら、花の輪の大きさに差があるものは規格外という判定をされ、市場では値がつきません。
一種の個性と呼べそうな特徴も、規格外として破棄されるのです。だから花屋の店先に並んでいる花はいつも美しいというわけですね。

こういった花の「過剰在庫」や「規格外」の課題解決に取り組むサービスや商品が、近年注目されていることはご存知でしょうか。
ここからは、花のある生活に癒されながら花の持つ課題を解決する、一石二鳥のサービスや試みを3つご紹介します！

１．サブスクリプション

1つ目は「定期的に花を購入できるサービス」です。「規格外」とされる花を市場の適正な金額で買い取り、必要分だけを発注し仕入れをコントロールしながら、需要に応えることができるサブスクリプションサービスは、フラワーロス対策の仕組みとしても有効。花のサブスクは、利用者にとって嬉しいサービスというだけではなく、花業界においても画期的なサービスなのです。

花のサブスクを確立させた　“bloomee”
そんな花のサブスクサービスの代表が、bloomeeです。
bloomeeは、「箱を開けたら飾るだけ」で花を楽しむことができるサービスで、月550円から利用できます。
旬の花束が箱にそのまま入ってポストへ届くので、開封して花を水に入れてあげるだけで、誰でも気軽に花を楽しむことができるのが特徴です。

２．ドライフラワー

2つ目にご紹介するのは「花を長く楽しめるサービス」。
花を長く楽しむ工夫の一つが“ドライフラワー”を作ることです。ドライフラワーは花が枯れたあとに楽しむものだと思われがちです。
しかし、実際はそうではなく、花が美しいときに水分を抜き乾燥させることで、美しい状態の花をより長く楽しむことができるものなのだそう。
そんなドライフラワーを自宅で存分に楽しむためのこんなサービスがあります。

ドライフラワーになりやすいお花の定期便　“greenpiece”
秋田県のフラワーショップ「greenpiece」が手掛けるお花の定期便は、「ドライフラワーでも楽しめるお花」を届けてもらえるというもの。
“12か月楽しめるカスミソウ“など、少し変わった視点で花の魅力を発信していることが印象的です。

３．チャンスフラワー

3つ目は、「規格外」の花を活用するサービスです。
規格外の花も、昨今ではその花の持つ個性が評価され、多く活用されるようになってきています。ここでは、規格外の花の活用に尽力されてきた企業が取り組む新たなフラワーロス対策事例をご紹介します。

1本100円で買える、規格外の花　“hanane”
株式会社hananeでは規格外とされる花を買い取り、都内のBOOKOFF数店舗で「花つみ」と称して、1本100円で規格外の花「チャンスフラワー」を販売しています。
チャンスフラワーは、不定期でカフェや商店街、病院等で販売されることも。また、同社は2022年2月にバイオサイエンステクノロジー株式会社と連携し、回収した花の廃材を成形することによってプラスチックやコンクリートに代わる新素材「RE Flowers」も開発しました。
株式会社hanane

おわりに

いかがでしたでしょうか。私たちを癒してくれる美しい花の裏にはフラワーロスという深刻な問題が隠れています。
今回ご紹介した、「サブスクリプション」、「ドライフラワー」、「チャンスフラワー」は、花の買い方・付き合い方を少し変えることで、私たちに癒しをもたらしながらフラワーロス問題を解決へと導いてくれます。
イベントなどの特別な時だけでなく、日常的に花を買ってみる。誰かのために花を買うだけでなく、自分に花を贈ってみる。
そんな風に気軽に生活に花の彩りを取り入れて、自分に癒しをプレゼントしてみませんか。