『ふるさと納税forGood』で地域を応援!社会を良くするお金の使い方
皆さんは「ふるさと納税」と聞いて、どのようなことが思い浮かぶでしょうか?「お得に美味しいものが食べられる」「ポイントがもらえる」……このようなイメージを持っている方も多いかもしれません。様々な返礼品を楽しむことができるのはふるさと納税の魅力の1つですね。
今回お話を伺ったのは、『ふるさと納税forGood』の事業開発職を務める竹下友里絵さん(以下、竹下さん)。『ふるさと納税forGood』とは、自分の納税でどの取り組みを応援したいかを選べるクラウドファンディング型のふるさと納税の仕組みです。そんな「自分の行動で未来・社会をよくできる」という点が、私たち『日新火災withCaNday』のコンセプトとマッチすると考え、今回の取材に至りました。この記事では、竹下さんに、ふるさと納税を通じた“社会を良くするお金の使い方”などについて伺っています。
「ふるさと納税、これでいいんだっけ?」
『ふるさと納税forGood』は、クラウドファンディング型ふるさと納税のプラットフォーム。地域が解決したい課題や税金の使途を明確にしており、取り組みへの共感で寄付を集めるのが特徴です。ユーザーは「子ども・教育」「自然と環境」「まちづくり」「ダイバーシティ」といった様々な課題解決を掲げる地域の中から、自分で応援したい場所を選んで納税ができます。
こうした仕組みのプラットフォームを立ち上げたのは、近年のふるさと納税をとりまく状況を見て感じることがあったからだそうです。
「近年、ふるさと納税は『どのくらいのポイントバックがあるよ』『どこのお肉がコスパ良いよ』など、お得な返礼品合戦状態になっているように感じます。ですが、そもそもふるさと納税は、『自分の生まれ育った故郷や応援したい地域に納税できるようにしよう』というところからスタートした仕組みです。『ふるさと納税って、これでいいんだっけ?』と思うようになりました。」
そこで竹下さんは、返礼品だけでなく、「自分の納税先を自分で選べる制度の素晴らしさに改めて着目したい」と思ったといいます。
また、竹下さんが現在働く株式会社ボーダレス・ジャパンでは、ソーシャルビジネス立ち上げのノウハウをより多くの人に伝えるため、社会起業のためのビジネススクール「ボーダレスアカデミー」を開校しています。竹下さんはアカデミーで起業を目指す人々を見ながら、大きな課題を知りました。それが『ふるさと納税forGood』を作るもう1つのきっかけになったと言います。
「ボーダレスアカデミーに参加する人たちは、自分の地域を良くしたい、目の前の課題を解決したいという想いを持っている人たちが多く、皆さん素晴らしいプランを描いて卒業していきます。しかし、中にはなかなか思うように事業を立ち上げられない人も。その中の1つの大きな課題が“資金調達”です。ビジネス経験がない中で、起業のために銀行から借入をするのはハードルが高い。クラウドファンディングという方法もありますが、何回も挑戦できるわけではないですよね。だったら、地域のために立ち上がろうとする人たちを応援する方法として、ふるさと納税を活用できないかと考えました。」
『ふるさと納税forGood』の利用状況
『ふるさと納税forGood』は、2023年11月末にリリースされ、現在45ほどの自治体が参画しています。人口数千人の村や町から福岡市のような政令指定都市など、規模は様々。ユーザーは、30~40代中心ですが、20~70代まで幅広い層が利用しているそう。
納税先は、「使い道」「地域」「返礼品」の3つの切り口から選ぶことができ、ユーザーの51%が「使い道」から、27%が「地域」から、22%が「返礼品」から選んでいるようです。そして、「返礼品なし」で寄付された金額は全体の7割を占めるそうです。
「『返礼品なし』を選んでもらうと、返礼品にかかる原価分もプロジェクトにあてることができます。そのため、プロジェクトに共感している人はあえて返礼品なしを選んで寄付してくれることも。プランニング当初は、返礼品なしに統一してもいいと思ったのですが、ユーザーヒアリングをしている中で、より多くの人に『ふるさと納税forGood』に参加してもらうためには、返礼品があった方が明らかにハードルは下がるし、地域の事業者支援にも繋がるという結論に至りました。」
また、返礼品から社会課題を知るという効果も狙っているそう。
「プロジェクトの目的から納税先を選んでもらうのが理想的ですが、返礼品から支援先を決めるのも悪いことではないと思っています。好きな返礼品を選んだ結果として『こんな社会課題があるんだな』と知ってもらえたらそれも素敵だなと思うんです。それをきっかけに『こういう課題があるなら、次は違うプロジェクトを応援してみよう』となってもらえたら嬉しいですし、ユーザーが心地よく、自分なりの応援の仕方を選べる導線を私たちは作っていきたいですね。」
ふるさと納税を通した、ソーシャルグッドなお金の使い方
ここでは竹下さんがふるさと納税を通して考える、“ソーシャルグッドなお金の使い方”について伺いました。
「この事業を通じ利用者の方々に “納税を通して社会を変えた”という成功体験を届けたいと考えています。普段、私たちはあまり自分自身が社会に影響を与えられると実感することがないと思うんです。例えば、選挙の時。自分たちの1票が大切だとわかっていても、『それで本当に社会は変わるのか?』という疑問を拭いきれない人もいると思います。それはまさに、投票したことで社会が変わったと実感できた成功体験が足りないから。
ふるさと納税は寄付ですが、自分の意思で納税先を選べて、結果的にそのプロジェクトが遂行されるものです。だからこそ、自分が未来に残したい社会を作るために納税する循環を作りたい、そして『本当に社会が変わった!』と思える成功体験を作ってもらえるようにしたいんです。それこそが、私たちが実現したい“ソーシャルグッドなお金の使い方”です。」
納税をすることはどうしても義務だと感じてしまいがち。しかし、ふるさと納税を通して少しでも社会や未来のために貢献できれば、前向きな気持ち・考え方になりそうですね。次に「せっかくお金を使うなら、少しでも良いことがしたい」という読者に向けて、メッセージをいただきました。
「お金を“なんとなく使う”のではなく、考えて使うことが大切です。でも、無理はしなくていいと思います。社会のためを思うなら、オーガニックコットンを買った方がいいし、間伐材を使った机を買った方がいい。ただ、それぞれの事情もあるので、誰もが絶対にエシカル商品を買わないといけないかというとそれも違うと思うんです。100%エシカルなお金の使い方が出来なかった、と感じた時、マイナスにとらえるのではなく、加点方式で考えてみましょう。1人が100点を出さなくても、10人が10点出したら100点になります。社会や環境にいいか、購入することで誰かのためになるか、自分が幸せになるか……いろんな側面を踏まえながらバランスを見て、無理なく良いお金の循環を生み出すのが良いのではないでしょうか。」
竹下さんのこのメッセージを受け、筆者自身とても救われた気持ちになりました。自分の気持ちを大切にしながら、社会や環境のことも配慮したお金の使い方ができるようになると素敵だなと思います。
今後の課題
最後に、竹下さんが『ふるさと納税forGood』を通して描く未来について伺いました。
「社会や未来のために立ち上がろうとする人が、立ち上がりやすいように。納税する人たちには、自分にも社会が変えられると思ってもらえるように。作りたい社会を実現するための応援という選択肢があるといいなと思います。そのために『ふるさと納税forGood』があります。
社会を変えようと立ち上がり、実際に良い変化が起きている地域の事例を見て、他の自治体の方に『うちもやろうよ!』と思ってもらえたら嬉しいですし、様々な地域で頑張る人に“翼を授けたい”という想いもあります。プレイヤーを集めたり、育成したりすることはボーダレス・ジャパンの強みを活かせる領域だと思うので、その役割を担っていけたらと考えています。日本を良くする取り組み、地域を良くする事業づくりを目指してこれからも進んでいきたいです。」
おわりに
様々な視点に立ち、地域を良くするため、いろんなことを吸収しながらパワフルに前に進んでいる竹下さん。取材中、最初から最後まで竹下さんの熱い想いが伝わってきて、心を動かされました。
納税をきっかけに、誰かの力になれた、自分の想いが社会を変える小さな1歩になった……そんな経験ができる『ふるさと納税forGood』。この記事が、「無理はしないけど、どうせ行動するならちょっとでもいいことをやってみよう」と一歩踏み出すきっかけになれば幸いです。