食べられるのに捨てられる食品たちを、必要としている方へ。宮城中央保険さんの取り組み
まだ食べられるのに、廃棄されてしまう食品。
コンビニやスーパーなどで売れ残っているおにぎりやお弁当などを見て「捨てられてしまったらもったいない」と感じたことのある方もいるのではないでしょうか。
今回お話を聞いたのは、日新火災の代理店である有限会社宮城中央保険(以下、宮城中央保険)の社長、菅原さん。ある気付きをきっかけに、食品ロスを減らすべく、賞味期限前でまだ食べられる食品を必要としている方に届ける活動を始めたといいます。
その取り組みの内容や、私たちにできることのヒントについて教えていただきました。
「フードバンク」「フードドライブ」って聞いたことある?
食品ロスを減らす「フードバンク」、「フードドライブ」という取り組みがあることを知っていますか?
フードバンクは、各家庭や食品を取り扱う企業から、まだ安全に食べられるのに廃棄されてしまう食品を引き取り、必要としている施設や団体、困窮世帯に無償で提供する活動のことを指します。一方、フードドライブは、各家庭で使いきれない未使用食品を持ち寄り、それらをまとめてフードバンク団体や地域の福祉施設・団体などに寄贈する活動のことをいいます。
日新火災社内の備蓄品、どうしているのだろう?と疑問に
菅原さんは、個人的にフードバンク活動については前から知っており、何か協力できることはないかとは考えていたそうです。
菅原さんの代理店事務所は、仙台にある日新火災ビル内にあります。たまたま災害備蓄品の入れ替え作業を目にした時、菅原さんと日新火災社員が「災害備蓄品の入れ替えをどう処分しているのか」について話したそうです。そこで菅原さんが「余った災害備蓄品を私たちが引き取り、有効活用できないか」と日新火災社員に提案し了承を得たのが、フードバンク活動の始まりでした。
日新火災仙台サービス支店ビルから受け取った備蓄品は、最初はご自身でネット検索し児童施設やフードバンク等へランダムに持参していましたが、現在は菅原さんが選んだ2事業者に寄贈されています。
ごみ削減、貧困問題には関心があった
宮城中央保険さんでは、以前からごみの減量に取り組んでおり、約10年前から仙台市の環境配慮型事業所の認定を受けてきました。そしてある時、生活保護制度や貧困の実態が描かれた、仙台が舞台の小説『護られなかった者たちへ』を読み、貧困問題に対する意識も強まったといいます。フードバンクの活動を通じて、食品ロスの問題だけではなく貧困問題の解決につながるのではと意識し、現在の活動に至ったそうです。
1/3ルールの存在
賞味期限が1/3を切ってしまうと、店頭から撤去されメーカーに返品されるという商慣行があることを知っていますか?
宮城中央保険さんは、取引先の食品メーカー・にしき食品さんに、1/3ルールによって販売できなくなった食品を寄贈してもらえないか、と以前から交渉していたようです。
さまざまな事情から交渉は難航しましたが、菅原さんはにしき食品さんに対し、その透明性などについて丁寧に説明を続けたといいます。
そして5年におよぶ交渉の末、廃棄予定のものではなく、パッケ-ジのデザイン変更に伴う余剰品を試験的に譲り受けるという形で実現に至りました。
「寄付した食品は、どういうところに提供されるのか、きちんと管理してもらえるのかどうかっていうところが、メーカーさん側にとってやっぱり一番心配なところだと思う」と、メーカーさん側のリスクというのも感じていた菅原さん。「今回、たまたま仙台市がフードドライブ事業っていうのを始めたので、仙台市がやっている事業だったら安心された点もあったのではないか」と合わせてお話されていました。
困っている人のために、長く続ける
菅原さんは、「我々(宮城中央保険)は、記事として取り上げられるようなことはしていないですよ」と、控えめにお話していましたが、その中には、困っている人の力になりたいという意思もとても強く感じました。
ボランティアの基本は、自分のできることを見つけ、けれども無理をせず、長く続けること。
「社会に貢献することの意義を少しでも感じたり、当社のやっていることに気が付いて協力したりしてくれる人が少しでも増え、輪が広がれば良いですね」と今後の展望を語っていました。
菅原さん自身、社会貢献のためにやりたいことはたくさんあるといいますが、「一生懸命やっている人はたくさんいて、そういう人たちを見ると感化されてもっともっと頑張らなければと思うが、やっぱり無理をすると続かなくなる」と無理しないことの大切さも語っていました。自分にできることから長く続けることが何より大事ですね。
私たちでも取り組めること
取材の最後に「身近に感じるちょっとしたことに気が付いたなら少しだけ協力してみようと、小さなことでも実際に行動してやってみることが大事」とメッセージをいただきました。
例えば、スーパーで買う時に、賞味期限の短くなったものをあえて選ぶ、フードボックスに気が付いたら無理のない範囲で提供するなど、ちょっとしたことから始めてみるのはいかがでしょうか。
有限会社宮城中央保険
株式会社にしき食品