仕事終わりの最高の1杯!この夏、ビールを飲む前に知ってほしい話
クラフトビールがビール業界を盛り上げている理由
最近、コンビニでも多くの種類を見かけるようになったクラフトビール。これは、小規模な醸造所がつくる多様で個性的なビールのことです。原材料の種類や配分、製法へのこだわりを持ち、味や香りの独自性に磨きをかける姿勢が、消費者の心をつかんでいます。
2021年8月18日にREPORT OCEANが発行したレポートによると、世界のクラフトビール市場は、2021-2027年の予測期間において、8.7%以上の年間成長率で成長すると予想されています。
飲みながら、地球にもやさしく。サステナブルなクラフトビールとは?
人気の高まっているクラフトビールには、前述のような独自の原料、製法などの工夫により環境への負荷を抑えたり、廃棄物を有効活用したりする種類もあります。ここではそんなサステナブルなクラフトビールをご紹介します!
麦芽の搾りかすは飼料に。自社で排水処理して農地還元するビール
醸造時の工程では、麦芽を造るために麦を水に浸したり、麦汁を造るための「仕込み水」を使ったりと大量の水を消費しています。1リットルのビールをつくるのに使われる水の量は5~10リットル。なんと、できあがるビールの15倍~20倍の排水が発生しているともいわれているのです。
ヤッホーブルーイングでは、自社で保有する排水処理施設で微生物による分解とフィルターによるろ過で、排水処理を実施。水質汚染防止法で定められている水質基準を満たす程度まで処理した水を、河川に放流しています。また、排水処理の過程で生じる麦芽の絞りかすは、肥料として近隣の農家に提供しているそうです。排水の質を高めるだけでなく、破棄される予定だったものを、近隣の方と協力し農地還元する発想が素敵ですね。
太陽光で醸造する、CO2排出を抑制するビール
水の消費だけでなく、仕込みや煮沸等の工程では電気を大量に使用しCO₂を排出していることも、ビール醸造における環境負荷課題の一つになっています 。そんななかビール業界では、燃料の転換や省エネ設備への切り替えなどを通じてCO₂削減の取り組みを行っており、2020年には1990年比で排出量を3分の1にまで抑え、削減目標をクリアしています。
静岡県沼津市のRePuBrew(リパブリュー)では、太陽光を利用しその電力で電気ボイラーを稼働、蒸気でクラフトビールを仕込み、工場内に出る湧き水を仕込み水とする工場を建設するべくクラウドファンディングを募集しました。そして、現在新たな工場『Natural Roots Studio』を建設中です。
RePuBrew
RePuBrew 太陽光で醸造する地球ビール
RePuBrew(リパブリュー)の代表・畑さんはクラウドファンディング募集時に、『全てが“完璧なエコ”でなくていい、私たちにできる事をしたい』と述べています。筆者はこのスタンスに惹かれRePuBrew(リパブリュー)のファンになりました。発電シミュレーションではビール工場全体の電気のうち70%以上を太陽光から得られるとのことです。地球ビールが醸造される日が待ち遠しいですね。
規格外のフルーツをビールに、ごみを減らすビール
ほかにも、廃棄物を減らし、循環型社会を目指すビールも存在しています。愛知県にあるOKD KOMINKA BREWING(OKD コミンカ ブリューイング)では、地元の農家さんから規格外品や傷もの、生産過多などで行き場のない果物を仕入れ、果汁へ加工。それらの果汁が、特徴あるフルーツビールに生まれ変わります。フルーツ独特の香りや甘みを感じることができるこのビールは、ビールに苦手意識がある方でも飲みやすいお酒だと感じます。おいしいビールを飲みながら、ごみを減らすサステナブルなアクションに繋がっていると考えるとお得な感じがしますね。
おわりに
いかがでしたでしょうか。普段私たちが何気なく口にしているビールが、実は社会課題を抱えていることがわかりましたね。たくさんの人がこういった社会課題に向き合って、解決するために今何ができるかを考えて実行に移していることを知るきっかけになればという想いで記事を執筆しました。
問題を知ることだけでも、持続可能な社会を生み出すための第一歩になります 。記事で取り上げた課題に少しだけ想いを馳せながら、今日はいつもとは違うビールを選んでみてはいかがでしょうか。
【参考文献】
・世界のクラフトビール市場は2027年までCAGR 8.7%で成長する見込み
・サッポロビール よくあるご質問
・三島の湧き水と太陽光で作られる”地球ビール”で後世に残る新工場をつくりたい!