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心身ともによい生き方を目指す!ウェルビーイングという考え方

新年度になり、入学・入社した方、転職・異動した方など、環境の変化が大きい時期ですよね。「新しい環境でやっていけるのか?」と気持ちの変化に敏感になる方も多いかもしれません。そんな皆さんにご提案したいのが「ウェルビーイング」です。今回の記事で紹介する「ウェルビーイング」 をきっかけに、ライフスタイルを見つめ直してみてはいかがでしょうか。


ウェルビーイングとは

「ウェルビーイング」は、社会とのつながりや個人の成長、健康状態や日常生活などが満たされている状態のことで、幸福感に関する概念です。言葉自体は近年よく聞く言葉のように思えますが、1948(昭和23)年に設立されたWHO(世界保健機関)の憲章にウェルビーイングが登場しています。

「Health is a state of complete physical, mental and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity.」
健康とは、病気ではないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあることをいいます。

公益社団法人日本WHO協会 世界保健機関(WHO)憲章とは

ここでは、「well-being」 は ”満たされた状態” という意味合いで表現されています。「病気だけに着目するのではなく、心の状態や社会とのつながりまで含めて満ち足りることが健康である」ということを言い表しています。

また、フリー・ザ・チルドレン・ジャパンでは、ウェルビーイングを

⼀人ひとりが人権を⼤切にされ、こころや身体や周りとの関係、社会の中での⾃分の存在が、⾃分にとってちょうど心地よい状態、または、そこに向かう過程のこと 

特定非営利活動法人フリー・ザ・チルドレン・ジャパン「ウェルビーイングな暮らしをおくるためのヒント集」

としています。人権が大切にされることはもちろんですが、”⾃分にとってちょうど心地よい状態”という部分から、ウェルビーイングな状態であるかどうかは一人ひとり異なるということが読み取れます。

ウェルビーイングに関心が集まっている理由

”満たされた状態” を表すウェルビーイングがなぜ今注目を浴びているのでしょうか?さまざまな理由がありますが、ウェルビーイングが国際的な機関や枠組みに盛り込まれていることが挙げられるでしょう。2015年に国連総会で採択されたSDGsの目標3「すべての人に健康と福祉を」にウェルビーイングの文言が盛り込まれました。英語では「Ensure healthy lives and promote well-being for all at all ages」です。
また、OECD(経済協力開発機構)が取り組む「OECD Education 2030 プロジェクト」でも触れられており、序文には以下の一文があります。

単に自分が良い仕事や高い収入を得るということだけでなく、友人や家族、コミュニティや地球全体のウェルビーイングのことを考えられなければならないのである。

OECD Education 2030 プロジェクトについて

こうした世界的な取り組みの中で位置付けられたことで、世界各国でウェルビーイングについて考えられるようになってきたと言えます。

日本におけるウェルビーイングの現状

世界的にウェルビーイングに関心が集まっていますが、ここでは日本におけるウェルビーイングの現状を見て生きましょう。

幸福度が低い

ウェルビーイングに関連するデータとして挙げられることが多いのが、「世界幸福度ランキング」です。日本はここ5年、62位(2020)、56位(2021)、54位(2022)、47位(2023)、51位(2024)と、50位前後を推移しており、G7の中では最も低い順位になっています。

ウェルビーイングが学べる教育機関の誕生

2024年4月、武蔵野大学にウェルビーイング学部ウェルビーイング学科が新設されました。国内外をフィールドにし、「学ぶ力」「対話する力」「構想する力」「実現する力」を育て、真の「しあわせ実践家=ウェルビーイングデザイナー」を育成することを使命としている学科です。学部長には、ウェルビーイング研究で有名な前野隆司さんが就任されています。

ウェルビーイングを叶える暮らしの中のアクション

では、ウェルビーイングな生活を送るために私たちには何ができるのでしょうか。ウェルビーイング度を高める3つの方法をご紹介します。

自分についてよく知る

まずは自分についてよく知るために、自分のための時間を確保します。まずは自分を受け入れましょう。寛大で柔軟な心にして、自分に向き合う準備をします。そして、自分は何を楽しいと感じ、何に喜び、何をしたらリラックスするのかなど、自分がより幸せを感じる状態を探してみましょう。また、自分の力の源を考えることで、自己実現のヒントを見つけることもできるかもしれません。
また、他者や社会との関係性も振り返ってみましょう。自分に近しい人たちのことを思い出し、その人たちとどんな関係性でありたいのか、改めて関係性をつなぎ直すという視点から考えてみるのも良いかもしれません。今ここに意識を向け、呼吸や身体、感覚、周りの音に集中することでストレス軽減になると言われている「マインドフルネス瞑想」をするのも良い方法です。

心を整える自分なりの方法を見つける

世の中には、「SBNR(Spiritual But Not Religious)」と呼ばれる人がいます。無宗教型スピリチュアルを意味し、自然との触れ合いやマインドフルネスなど精神的な豊かさを求める人々のことを指します。博報堂とSIGNINGによる調査では、SBNRの人々が心を整えるためにやっていることに、「朝に日光を浴びる」「運動する」「お寺や神社に行く」「ランニングをする」などがありました。他にも、アウトドアやサウナなど、自然に触れたり汗をかいたりする行動が多くなっているので、こうした声を参考にするのも良いでしょう。

ポジティブなことに着目する

人は生きていく中で、何か行動をしたときに結果を予測します。予測通りのこともあれば、予測よりも良いこと、あるいは悪いこともあります。そんなときは、ポジティブな予測誤差に着目することが大切です。例えば、試験全体の結果が前回よりも下がっていると落ち込んでしまいますが、苦手だった教科の点数が上がっていたら嬉しいと思います。このように、ネガティブなことよりもポジティブなことに目を向けることで心の負担を減らすことができるかもしれません。

おわりに

今回は「ウェルビーイング」についてご紹介してきました。まずは自分と向き合う時間をつくること。そしてよく観察し、自分に問いかけることから始めてみましょう。より楽しく、幸せに、ストレスフリーで生きていく方法を見つけていくことが大切です。

【参考文献】
United Nations Sustainable Development Goals
World Happiness Report 2020
World Happiness Report 2021
World Happiness Report 2022
World Happiness Report 2023
World Happiness Report 2024
PRTIMES「博報堂とSIGNING、生活者発想で経営を考える「HAKUHODO HUMANOMICS STUDIO」の活動を開始」
HAKUHODO & SIGNING「SBNR REPORT」(2023.4)
・井筒節・堤敦朗編著 国際精神保健・ウェルビーイングガイドブック 株式会社金剛出版(2022)
・乾敏郎・門脇加江子著 脳科学はウェルビーイングをどう語るか?-最新科学明かすふれあいとコミュニケーションの力- ミネルヴァ書房(2023)

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