ダウンだってリサイクルできる!「Green Down Project」が注目されるワケ
寒暖の差が激しい今冬、みなさんはどのように寒さを凌いでいらっしゃいますか。寒い日にはダウン製品を着る・使う方も多いのではないでしょうか。ダウンは流行のはやりすたりもなく長く使えますし、保温性も高いのでとても重宝しますよね。一方で、サイズが合わなくなってしまったり、穴が開いてしまったり、あるいは羽毛がヘタってしまったりと、いつかは「もう処分してもいいかな……」と考える日も来ます。
そんな時、どう処分したらいいのか困ったり、長く愛用したものを捨てるのにモヤモヤしたりしたことはないでしょうか。今回は、そんなモヤモヤを解決できそうなアクションをご紹介します。
ダウンの背景にある水鳥の冷たい事情
そもそも「ダウン」がどんなものを指すのでしょうか。羽毛製品という認識がある方も多いと思います。
ダウンとフェザーの違い
寝具やクッション、衣服に使われる素材のなかで、水鳥に由来するものに「ダウン」と「フェザー」があります。ダウンは「羽毛」、フェザーは「羽根」のことを指し、食用になる水鳥の副産物として採取されています。
ダウンの利点は様々で、特に「断熱性」「軽量性」「通気性」があげられます。特に「断熱性」については空気を大量に溜め込むことができ、その空気によって温かさが保たれているのです。また、ダウンは軽量で重くなりにくく動きやすいです。さらに通気性もよいことで体温調節もしやすい特徴があります。一方でフェザーの特徴は「耐久性」「弾力性」があります。これはフェザーの中央には芯があり、より立体的でしっかりとした構造として強度を保つことができるのです。この構造が、繊維が元に戻りやすい弾力性をもつといった利点につながります。
同じ鳥でも、使われる毛によって異なる特性があるのは驚きです。ちなみに冬物でよく聞く中綿は、ポリエステルなどの化学繊維で作られた綿のことを指します。比較的安く、洗濯がしやすいことが特徴ですが、保温性の観点ではダウンの方が保温性に優れていると言えるようです。
その羽は誰のための?需要増加の背景にある課題
そんなダウンでは見過ごせない課題があることをご存知でしょうか。本来、水鳥の羽毛は、厳しい寒さから身を守ること、そして卵やヒナを温めるためのもの。
昨今、世界の消費者の健康志向の高まりを主な要因として、タンパク質が豊富な食品、特に動物性タンパク質への需要が高まっており、鶏肉においても同様の傾向があります。短期間の飼育で出荷することができる水鳥は重宝され、供給されています。しかしこういった短期間で出荷した水鳥の毛を機械で一気に刈り上げることは効率である一方で良質な羽毛ではありません。さらに「ライブハンドプラッキング」という言葉をご存知でしょうか。ライブハンドプラッキングは、生きた水鳥から毛をむしり取る方法です。聞いただけでも身の毛がよだちます。
一方で、水鳥にも毛の生え変わりの時期に、自然と抜け落ちた羽毛や抜け変わりそうな羽毛を活用するという方式もあります。この方法は、採取される量は少ないものの良質なものだそうです。
「その羽毛は誰のためのものだろう?」そういった背景を思いながら感謝しなければいけないし、限りある資源を有効に使う必要があることを感じます。
羽毛はリサイクル!「Green Down Project」って何?
私たちが普通に着ているダウンの背景にどんな課題があるのか見てきました。では、そんな課題をどう解決すればいいのでしょうか。羽毛をリサイクルするシステムを確立している「Green Down Project」についてご紹介します。
羽毛循環サイクル社会の実現に向けたプロジェクト
一般社団法人 Green Down Project が進める「Green Down Project」。「羽毛循環サイクル社会」を目指し、2015年4月3日に発足しました。
消費者から羽毛布団やダウンジャケットなどの不用になった羽毛製品を回収し、解体して取り出した羽毛を精製加工し、再びダウン製品にする、というもの。「Green Down Project」のGreen Downは、リサイクルされたダウンのことです。
このリサイクルを担うのが、河田フェザー株式会社。三重県内にある工場で回収した羽毛製品を解体し、羽毛を取り出します。その後、付着したホコリやアカを取り除き、きめ細かな超軟水で洗浄します。これは新毛と同じ工程で、GreenDownは2回行います。厳しい品質基準の試験をクリアしてまた羽毛製品に生まれ変わるのです。
気軽にできる!「Green Down Project」への参加方法
「Green Down Project」について見てきましたが、このプロジェクトにどう参加したらいいのか、参加方法を紹介します。
回収場所は全国各地に
回収場所は全国各地にあり、アーバンリサーチ、スノーピーク、ユナイテッドアローズなどのアパレルショップや、クリーニング店など様々な場所で回収してくれます。
回収できるダウンの対象は、ダウン率が50%以上のもので、穴が開いていたり、汚れていてもOK。また、Green Down Project「VIRGIN DOWN」のタグが付いている商品も回収可能です。まずは持って行ってみましょう!
そして、買い替える予定の方は、回収後に「Green Down」を買ってみてもいいかもしれません。資源の循環を体感することができると思います。
おわりに
いかがでしたでしょうか。羽毛は適正な処理をすれば繰り返し使うことができる循環資源ということが分かりました。大切なダウンがもう一度活用されるというとても素敵な取り組みですよね。水鳥の保護や地球環境問題など、背景にあるさまざまな問題の解決に参加できるアクション。ダウン製品を入れ替える際には、処分するだけでない今回の手段も是非参考にしてみてくださいね。
【参考文献】
★ANIMAL RIGHTS CENTER「ダウンの作られ方」
★KAWADA FEATHER「羽毛の品質~KAWADA DOWNとグリーンダウン~」
★ULLR MAG.「ダウンジャケットのダウンとフェザー・中わたとの違いや選び方、おすすめのブランドを紹介」
★NEWSCAST「家畜・食肉市場- 成長、動向、予測(2023年~2028年)」
★Well-living Lab「捨てられるはずだった羽毛布団が、良質なダウンジャケットに。189社が参加する羽毛循環サイクル」
★URBAN RESEARCH「Green Down Project」
★PR TIMES「ユナイテッドアローズ グリーンレーベル リラクシング「グリーンダウンプロジェクト」のリサイクルダウンを使用したダウンウェアを今年も販売」