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“空き家”の社会課題を解決へ。注目の取り組み4選

日本の空き家事情をご存知ですか。日本の空き家は、10年後の2034年には2,000万戸を超え、総住宅数に対する空き家の割合は現在13%前後である数値は、30%に達するといわれています。年々人口は減少しているため、人が住んでいない家=空き家が今後も増えていくことは間違いないでしょう。空き家が増えることで私たちの生活にどんな影響があるのでしょうか。今回は空き家問題を解決するための具体的なアクションをご紹介します。


空き家問題を知る

空き家への具体的なアクションを知る前に、現状を把握しておくことが大切です。日本の空き家がどんな状態なのか、どんな問題を抱えているのか、改めて確認していきたいと思います。

空き家の種類と現状

まずは、空き家の種類と現状についてです。「空き家」と言っても種類はさまざま。「概ね年間を通して居住やその他利用がされていない建築物(住宅に限らない)」と「空家等対策の推進に関する特別措置法(以下「空家法」という。)」第2条第1項で定義されています。総務省が実施している「住宅・土地統計調査」では売却用や賃貸用、別荘なども空き家に当てはまります。
そもそも、適正な空き家の状態とはどういったことをいうのでしょうか。

住宅市場での取引を円滑にするためには一定量の空き家が必要であり、その適正な空き家の割合は5%~7%程度とされています。これを踏まえると、総務省の住宅・土地統計調査によると、現在の13%前後です。この数値は高い数値であることが分かりますが、空き家問題は「その他の住宅」が問題とされており、同調査では2018年時点で約347万戸といわれています。
「その他の住宅」の考えられる問題について詳しく考えていきましょう。

空き家問題とは

空き家は、長期間放置されることでさまざまな悪影響を及ぼします。例えば、家屋の倒壊や雑草の繁茂、害獣や害虫の繁殖、不法投棄や不審者の出入りなど、衛生面や安全性・防犯性が損なわれるリスクがあります。

このように、そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態、または著しく衛生上有害となるおそれのある状態、適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態、その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態にあると認められる空き家を「特定空家」といいます。また、危険な空き家があるというだけで、周辺の不動産価値が下がることもあり、近隣住民に迷惑がかかるかもしれません。 

近年、特定空家になることを未然に防ぐための法整備がすすめられ、2023年12月に改正された「空家法」は、所有者の責務を強化し、国・自治体の管理指針に即した対応をする必要があり、場合によっては、自治体からの指導が入ることもあります。改善が見られない場合は勧告や命令が下されることもあるそうです。

空き家問題にむけた解決やアクション

空き家は、さまざまな問題を引き起こす可能性があることがわかりました。ここからは、そんな空き家問題の解決にむけ新たな住宅やコミュニティ施設に変えているプロジェクトの事例をご紹介します。 

さかさま不動産

不動産会社のWebサイトは、「借りたい人」に向けて「貸したい物件」の情報を提供するのが一般的ですが、その考え方を逆にしたのが「さかさま不動産」。「貸したい物件」の情報ではなく、「借りたい人」の情報をWebサイトで公開しています。サイトには、「お店を始めたい」「コミュニティを作りたい」など、「借りたい人」が空き家で挑戦したいことがずらりと並んでいます。

空き家を持っている方のなかには、プライバシーや近所付き合いの観点から、所有者の情報の公開を不安に思う方や、どんな人が借りるのかちゃんと知りたい方もいます。そうした方にとって、借り手の想いを記事で知ることができるのがメリット。 

START Box ササハタハツ

「START Box ササハタハツ」は、渋谷区にある都営住宅の空き物件を活用した若手アーティストの創作活動を支援するプロジェクト。このプロジェクトは、東京都と、東京都における芸術文化創造の促進を進めるアーツカウンシル東京が「東京文化戦略2030」の事業の一環として行っています。少ない負担でアーティストが創作をできる場として、2023年4月にオープンしました。

 空き家バンク

空き家バンクは、空き家情報を自治体のホームページなどで公開している仕組みのこと。その自治体が把握・登録している空き家についていつでもどこからでも検索でき、希望条件に合った空き家を探せるのが特徴です。

また、全国版の「空き家バンク」もあり、日本全国の空き家を横断的に検索できます。2018年に運用がスタートし、これまでに約16,000件の物件の成約実績があるようです(2024年年1月末時点)。

空き家を “売りたい・貸したい” と考えているならまず「空き家バンク」に物件を登録しておくのがおすすめ。移住者が増える昨今、空き家が劣化しないうちに登録をするのがいいでしょう。

 空き家専用保険

「空き家専用保険」は、私たち日新火災海上保険が、特定非営利活動法人 空家・空地管理センターと共同開発した空き家に関する保険で、2024年1月に発売を開始しました。

https://www.nisshinfire.co.jp/news_release/pdf/news240116_02.pdf

この保険は空家・空地管理センターが提供する空き家管理サービスに自動付帯されるものです。日常的な空き家の管理(草木や建物外観の確認、近隣クレーム一次対応、管理会社ステッカー設置、ポスト清掃など)を提供する空き家管理サービスと、空き家の万が一に備える保険の補償 がセットになっています。保険では、空き家の所有に伴う損害賠償責任の発生や、空き家での火災発生時の解体費用や近隣住民の方へのお見舞い金を 併せて補償してくれます。

放置される空き家の発生抑制や近隣住民の方々の被害の防止、不安の解消に繋がる取り組みです。

おわりに

いかがでしたでしょうか。今回は、空き家問題とは何なのか、またその空き家問題に対する具体的な取り組みについてご紹介しました。行政、民間企業、団体等さまざまな立場の人たちが協力する事で、社会課題の解決に一歩ずつ進んでいけるということがわかりました。

空き家問題は、決して他人事ではなく近い将来、隣家が空き家に!ということもあり得る話です。今回ご紹介した事例がいつか訪れるかもしれないリスクに備えられるものとなりますように。


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