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あんしんの鍵を握るのはコミュニティ?地域のみんなで支え合う仕組み

 近所の知り合いにフラッと会える、そんな場所が欲しいなと思ったことはありませんか?ちょっとした相談事ができたり、一緒にコーヒーを飲んだり、必要なものをお互いに融通したり。そういった存在が近くにいたら、もっと外に出ようと思えたり、もし病気になった時や災害に遭った時にも安心だなと思えたり、気持ちが楽になりますよね。今回は、そんな「地域」や「コミュニティ」の役割に注目して、誰もが安心して暮らせるためのヒントを探ります。


現代社会において孤独を経験している私たち

現代社会において、私たちは思いもよらないほどに孤独に取り囲まれていることがあります。年齢や生活スタイルに関係なく、「身近に頼れる人がいない」「困った時にSOSを出しづらい」「変化に気づいてくれる存在がいない」という感覚を多くの人々が抱いているかもしれません。

単身世帯の割合が増加し、2005年の29.5%から2020年には38.1%まで上昇しています。同時に、隣人とのつながりが薄れつつある中、孤立していると感じる人もいるでしょう。子育て経験者の中で孤独や孤立を経験したことがあると回答する割合は67%にも上り、孤独の影響が深刻であることが浮かび上がっています。

孤独死に関する統計もまた、驚くべき事実を明らかにしています。孤独死者の平均年齢は約62歳で、さらに、高齢者に達しない年齢で亡くなる人の割合は約半数。孤独死全体の40%が現役世代の方の死亡であることが分かっています。このように、社会的な孤立は高齢者だけの問題ではなく、全世代にわたる深刻な社会的な課題として浮かび上がっています。

OECD(*1)加盟国における社会的孤立の状況のデータによれば、日本の社会的孤立(*2)の状況は他の先進諸国と比較しても突出して高く、人と人、そして地域との結びつきを再構築する重要性がますます強調されています。

実際、幸福度を示す指標であるウェルビーイングにおいても、「地域とのつながり」は極めて重要な要素とされています。心と体の健康を維持するためには、住んでいる地域に安心感や居場所を見出し、地域への参加意識を高めることが欠かせないのです。

(*1)「Organisation for Economic Co-operation and Development:経済協力開発機構」の略
(*2) 「社会的孤立」は、友人、同僚、その他宗教・スポーツ・文化グループの人と全く、あるいはめったに付き合わないと答えた比率

日常の些細なよろこびを感じる「地域とのつながり」

「地域とのつながりがあること」は、ただ安心感をもたらすだけでなく、心がほっこりする温かな居場所を感じさせ、自分も誰かをケアできるという喜びを生み出し、心身の健康にも良い影響を与えるのです。このつながりが、日常の些細な瞬間に心を躍らせ、笑顔があふれる瞬間を増やしていきます。

近年広がっている子ども食堂の取り組みも、単に生活に困窮している子どものための場所だけではなく、顔を合わせ、子どもたちだけでなく地域の皆さんが心を通わせ合い、温かなコミュニティを築く場となっています。このように、子ども食堂の活動は単なる食事の提供に留まらず、心温まる関わりがそこには溢れているのです。

では、地域の人と顔見知りになり、相談できる関係を築くためには、他にはどのようなアクションがあるのでしょうか?あなたの街にも、様々な素敵な取り組みが広がっているかもしれません。それでは、具体的な取り組みについて2つご紹介していきます。

日頃からおせっかいを焼いてくれる「コミュニティナース」

「コミュニティナース」は、医療の資格が不要で、どなたでも学べばなれるケアラーで、私たちの暮らす地域に優しく入り込んで、些細な変化に気づくことで、素早く適切なケアを提供する取り組みです。

単にケアが必要な人に対して病院以外の環境で早期にケアの機会を提供するだけではありません。病気や障害の有無にかかわらず、人々の生きる力が湧き出す工夫を共に考え実践し、「やればできるんだ」という喜びのもと、生きるをよりよくしていく活動です。

例えば、郵便局にいるコミュニティナースは、お年寄りの動きや態度の変化に気づき、声をかけたり、その人の周りの人と情報を共有したりして、見守りのネットワークを強化します。

この温かいアプローチは、「病気になって初めてケアを受ける」社会のあり方を変えようと、株式会社Community Nurse Companyの矢田明子さんが提唱しています。

 島根県出雲市で育った矢田さんは、父の死をきっかけに、コミュニティナースという新しいアイデアを生み出しました。彼女は「もし地域に医療の専門家が常に存在し、地域の人たちの健康や生活に関する相談に乗ってくれる仕組みがあれば、父のように病気が進行してしまう人を救うことができるのではないか」と考えました。この着想から、彼女は看護学校に入学し、「コミュニティナース見習い」としてまちでの活動を始めました。彼女は仲間とともに子育て中のお母さんを対象に健康イベントを開催し、まちの人々との交流を深めてきました。

この個人から始まったコミュニティナースの活動は、次第にチームとなり、全国から年間250件以上もの問い合わせが寄せられるようになりました。そこで、矢田さんは正解のないこの活動に興味を抱く人々と学びをシェアし、それぞれの地域でのコミュニティナース活動を支援するために、「コミュニティナースプロジェクト」という個人向け養成講座事業を展開し、2017年にはCommunity Nurse Companyを設立しました。

Community Nurse Companyの活動は、「私ならできる。あなたならできる。」という信念のもと、人類が協力し合い、高め合う社会を築くための実践を続けています。

マンション内でサポートし合えるコミュニティアプリ「GOKINJO」

「GOKINJO」は、株式会社コネプラが提供するお隣同士の心地よいつながりや、日常の楽しみを共有するためのデジタルプラットフォームです。現代社会ではお金で何でも手に入るけれど、なかなか「手伝いましょうか?」と声をかけづらいこともありますよね。そんなちょっとしたお手伝いが、私たちの生活をもっと豊かにしてくれるかもしれません。そこで、「GOKINJO」は、デジタル技術を活用して、実際の場で失われつつある人間関係をデジタル上で再構築することを目指しています。

このサービスの面白いところは、同じマンションに住む仲間たちと気軽につながり、情報交換ができることです。子育て中のお母さんや趣味が同じ仲間たちと、お互いの暮らしを楽しむきっかけがたくさんあります。お隣同士で物のシェアもできます。無駄をなくしてリサイクルしながら、さらに仲良くなれるって最高ですよね。

「GOKINJO」では、居住者同士が簡単に情報を共有できる「情報交換」機能があります。子育てのアドバイスや、近所のイベント情報、これからの季節のおすすめスポットなど、日々の生活がもっと楽しくなる情報が盛りだくさんです。また、「お譲り」機能では不要な物を手軽にシェアできます。お互いにハッピーな気分になれる仕組みですね。

そして、「GOKINJO」のポイントは、「お助け」機能。ちょっとした手助けが欲しい時や自分の得意なことでお手伝いしたい時に使えます。お互いにサポートし合って、コミュニティをもっと素晴らしい場所にしていけることは、素晴らしいことですよね。

ぜひ、問い合わせして見てください。

おわりに

地域の絆を深め、居場所を作り、人々が支え合った素敵な仕組みをご紹介してきました。最近の地震で、「もし災害に遭ったら大丈夫だろうか」と不安に感じた方も多かったと思います。災害に備えるだけでなく、大切なのは周りの人と手を取り合える関係性を築くこと。これが「もしも」への備えにつながります。

まず、住んでいる地域で行われている素晴らしい取り組みや、発信されている情報、そしてあなたが参加できそうなアクションについて調べてみませんか?地域の人々が力を合わせて作り上げたコミュニティの魅力に触れることで、新しい友達や心地よい場所が見つかるかもしれません。

これらの小さな一歩が、地域全体の結びつきを強化し、災害時だけでなく普段の生活でも支え合えるような心地よいコミュニティを生み出します。ぜひ今回ご紹介した事例を知っていただくことで、地域をより素敵な場所にしていけたら幸いです。

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